英検®は『従来型』と『S-CBT』どっちが有利?【S-CBTのメリット・デメリット】

英検にはペーパーテストで受ける『従来型』とパソコンで受験をする『S-CBT』があります。「どちらを受験した方が合格率が高まるのか」という疑問を多くの方が抱いています。

本日は英検®専門スクールを経営する筆者が実際に受験をしてきた結果「どちらの方が受験者にとって有利なのか」を、メリット・デメリットを踏まえた上で説明いたします。

様々な要因を考慮すると、S-CBTの方に軍配が上がり、多くの受験者にとってメリットが多いようです。

どちらか悩んだ場合は、S-CBTを受験した方が合格率を上げることができます。

それでは次に従来型の英検®よりも英検®S-CBTの方が有利な理由を説明していきます。

英検®S-CBTはパソコンで受験し、従来型と違い1日で4技能全てを終えることができます。もちろん、本来2次試験であるスピーキングもパソコンで受験をします。

スピーキングはパソコンに向かって録音をする形式です。ズームなどのように試験管とリアルタイムでオンライン試験を受けるわけではありません。そのため、人と対面する必要がないので余計な緊張もありません。リラックスして本来の実力を出すことができるでしょう。

英検®S-CBTではリスニング試験でヘッドフォンを使用します。従来型の英検®ですと、受験会場の部屋の中でCDプレーヤーによるスピーカーを使用します。

当然、座る位置により聞こえる音量も異なりますし、反響音などもあります。ヘッドフォンとCDプレーヤーのスピーカーとでどちらが聴きやすいかは言うまでもないでしょう。

さらに英検®S-CBTでは音量を自分で調整することができます。自分が最も聴きやすい設定でリスニング試験を行うことができるのです。

ヘッドフォンで聴いているので雑音も従来型より聞こえにくくなります。

英検®S-CBTではタイピングを選ぶことができます。従来型と同様に手書きを選ぶことができますが、タイピングの方がずっとメリットが多くなります。

まず、単純にタイピングの方が手書きよりスピードが上です。1分間に書ける単語の数とタイピングで打てる単語の数はタイピングの方が圧倒的に多いでしょう。タイピングが苦手でも少し練習すればすぐに手書きよりも早くすることが可能です。

さらに、タイピングなら字の汚さも気になりません。筆者もそうですが、従来の試験となると焦りで手元が狂います。字を綺麗に書こうとすると、書くスピードも下がります。自分が書いたライティングを採点者が読めなければ当然採点もされませんので、いつもよりも字を綺麗に書くことを意識しなければなりません。しかし、タイピングであればその心配も無用です。

結果、ライティングに費やす時間を大幅に削減することができます。

英検®S-CBTでは、『スピーキング』➡︎『リスニング』➡︎『リーディング』➡︎『ライティング』の順番で行います。従来型ですと、1次試験で『リーディング』➡︎『ライティング』➡︎『リスニング』の順に行います。

従来型の場合、『リーディング』で目と頭が疲れ、その次に『ライティング』でさらに頭を使った後に、解釈力と判断力のスピードが求められる『リスニング』を行うわけです。当然頭が疲弊した状態でリスニングを行うため、得点率はガクッと下がります。

しかし、英検®S-CBTでは15分ほどで終わるスピーキングのすぐあとにリスニングを行います。英語の解釈力のスピードと一瞬の判断力が試されるリスニングにおいて、頭がまだ疲弊していない冴えている状態で行えるのはかなり有利と言えるでしょう。

以上、4つの理由により、英検®は『S-CBT』で受験した方が合格率を上げることができるでしょう。

当然、メリットだけではなく、デメリットも存在します。しかし、そのデメリットは普段のトレーニングで克服することができます。たとえデメリットがあったとしても、総合的に見れば『S-CBT』の方が有利ですが、ここからはデメリットを限りなく「ゼロ」にする方法を説明します。

❌目が疲れる

英検®S-CBTではパソコンの画面で問題を読むため、単純に目が疲れます。疲労度が紙の場合と比べてどの程度異なるのかは数値化できませんが、明らかに目が疲れるので読むスピードが少し下がるような気がします。

実際に本当にスピードが下がっているかはわかりませんw

紙の場合は、周りの光を頼りに文字を読みますが、パソコンはそれ自体が光を発しているので、ブルーライトの影響により目の疲労感が溜まりやすくなるんです。

普段からパソコンで英文を読むようにする

対策としては、普段の学習の中で、電子機器で英文を読むようにすると良いでしょう。もちろん全てとは言いません。1日10分でも良いと思います。

パソコン画面で英文を読むことに慣れておくと良いでしょう。

❌1次試験と2次試験対策を同時に進める必要がある

英検®S-CBTでは1次試験と2次試験を同日にやってしまうため、従来型のように1次試験が終わってから、1ヶ月間スピーキングの練習ができるわけではありません。

そのため、試験当日に向けて4技能全ての対策を行わなければいけないので、普段の学習ではバランス良くトレーニングする必要が出てきます。

技能を組み合わせたトレーニングで相乗効果

みなさんは「4技能を鍛える」と言うと、「別々に対策をする」必要があると考えているようですが、そうではありません。

TOEFLなんかでは『integrated問題』という問題があります。これは技能を2つ以上組み合わせた問題です。

たとえば、TOEFLのスピーキングでは、

  • 英文を読んだ後に
  • その英文に関する会話をリスニング
  • そしてその後に英文と会話に関することをスピーキング

といった問題があります。上記の問題ではリーディングとリスニング、スピーキングの3技能を合わせた問題になります。リーディングとリスニングがきちんとできていなければ、その後のスピーキングができないといった厄介な問題です。

問題としては厄介ですが、その分トレーニングとしては最高の材料となります。インプットであるリーディングとリスニングを、アウトプットであるスピーキングを意識して行えばそれぞれ相乗効果を狙えます。普段のトレーニングに組み込めば、技能を別々に学習する必要がありませんし、それどころか相当なレベルアップが狙えます。

方法についてはここでは割愛します。

❌リスニングの先読みができない

英検®S-CBTではリスニングでの先読みが難しくなります。厳密にはやろうと思えばできます。次の問題の選択肢を読むために、問題番号をクリックすればその選択肢が読めます。

ただ、画面が切り替えるのに多少タイムラグがあったり、解答時間を過ぎると自動的に画面が切り替わるシステムなので、先読みしているとどうしても無駄な時間が生じてしまいます。

従来型ですと、リーディングをとっとと終わらせて、リスニング問題が始まる前にリスニングの選択肢を読んでおけば、問題を解答するときに有利になります。解答時間が10秒しかない中で、初見で選択肢の解釈が難しい場合などは大きな助けになるでしょう。

しかし、これは従来型の問題が見開きで多くの選択肢に目を通せるという性質があるからこそ使える裏技のようなものです。1つ1つの問題しか見れない英検®S-CBTでは画面切り替えのタイムラグも合わせて考慮すると得策ではありません。

普段から解答時間を短くして解答するようにする

筆者が経営するブリジェストでは普段からリスニングを1.25倍以上のスピードでトレーニングさせています。当然英文もそのスピードになるので、解答時間を短縮できるだけでなく、リスニングの負荷も高めることができます。

普段から本番より短い時間で解いていれば、先読みの必要もなるなり、むしろ試験では解答時間が長く感じるようになるでしょう。

❌スピーキングで周囲の声に気が散る

英検®S-CBTでは試験会場の部屋で、全ての受験者がスピーキングから始めます。一人一人ヘッドフォンとインカムマイクでスピーキングを録音しますが、一斉に行うため周りの声も多少気になります。

少し音量を大きくしておく

試験が始まる前に音量の調整を行います。その際に気持ち大きめに設定しておくと良いでしょう。それでも少しは周りの声が聞こえますが、ヘッドフォンから流れる音量の方が遥かに大きいので、自分の試験に集中できるようになります。

ヘッドフォンもなるべく周りの音が聞こえないような性能のものを使用していますので、ネットの記事で言われているほどは気にならないと思います。

以上4つがデメリットになります。しかし、そのデメリットは普段の学習で克服できますので心配ありません。仮にデメリットになったとしてもメリットの方が遥かにデカいので、合格率を少しでも上げたい方にはS-CBTをお勧めいたします。

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